憲法の名宛人は第一義的には国家(公権力)。
私(わたくし)の組織なら、客サービスを担当するclerkにはブサイクな人間は雇用しない、ということも出来るだろう。採用時にはかなりの採用の自由が認められているから。
しかし、公権力を司る国や地方自治体においては、憲法14条や憲法22条や場合によっては憲法13条などに抵触するだろうから、ブサイクか否かを採用基準にすることは違憲、ということになるだろう。
「窓口にブサイクな職員を配置するな」と国民・住民からクレームが来ても、国・地方自治体としては、ブサイクだからといって差別的取り扱いを出来ない旨説明し、そういう差別が国民・住民から払拭されるように啓蒙する、という対応が求められることになるだろう。
同様に……
私(わたくし)の組織なら、刺青入れている人が客サービスを担当するclerkとしては不適格なので、従業員に刺青を入れているかアンケート調査することは、直接憲法違反(例えば13条違反)にはならないだろう。
しかし国や地方自治体においては、客サービス担当に不適格だからといって安直に、職員の幸福追求権やプライバシー権を侵害するか否かを考量せずに、刺青を入れているか否かをアンケート調査することは許されないだろう。
刺青を入れている職員を客サービス担当から外すことの必要性。必要だとして、その目的のための手段として全職員を対象としたプライバシー権を侵害しかねない内容のアンケート調査を選択することの合理性。プライバシー権に関わることを理由として職員がアンケートに答えない場合に不利益処分を課すことなどの相当性。こんなことが比較考量されるのでしょうか。
特に、動機において職員に対するパワハラ的嫌がらせ目的が認定されないか、アンケート内容が目的との関係で不必要な程度にまで回答者に人権侵害的不利益を強いる内容となっていないか、などは、厳密に考慮される必要が有るだろう。
公務員だから、民間よりもプライバシー権等が制約されても仕方がない。というのは逆。
民間では許されるようなプライバシー権等の制約も、国・地方自治体に限っては、憲法が第一義的には国(公権力)を名宛人としている以上、民間に求められるより高度の必要性・合理性・相当性を求められる。そしてこれらをクリアできなければ、民間なら許される権利の制約も、国・地方自治体には憲法上許されない、というのが実は憲法適合的な組織運営ということになる。
直接の名宛人である国・地方自治体が隗より始めてこそはじめて、間接的な名宛人である民間にも憲法的価値観に従ってもらうことを要請しうる。という意味では、国・地方自治体が職員の権利を侵害しないように神経質になること自体は、特に責めるには値しないし、公務員の既得権益と捉えて小市民的に目くじらを立てる必要も無いだろう。


by yasutaroh
誰も「原発が止まったら一両日…